明日の子供たち

素敵な本を紹介いただきました。
明日の子供たち(有川 浩 作)
という本です。児童養護施設で暮らす子供たち、児童養護施設で働く職員、児童養護施設の外からサポートする団体、そんな人たちの物語です。

児童養護施設にボランティアで関わってきた私ですが、私が見聞きしてきた児童養護施設での出来事がまさにそのまま描かれているように感じます。フィクションのはずなのに、さすがの有川 浩さんの文章で、登場人物それぞれに血が通って、活き活きと描かれています。この登場人物のモデルは、過去児童養護施設で出会ったあの子かなぁと思い出しながら(当然違うのですが)、このエピソードは、過去私も遭遇したあの出来事を取り上げたのかなと思いだしながら(こちらも当然違うのですが)そんなリアリティを感じながら読み進めていました。

また、この本が書かれるに至った経緯が素敵なのです。児童養護施設で暮らす高校生が、施設の事を世間に知ってもらうにはどうしたらよいのか、それを考えた時に思い付いたのが、ベストセラー作家の有川浩さんに、児童養護施設を舞台に作品を書いてもらうという手段でした。この高校生が有川さんに手紙を書き、有川さんが、その手紙を真摯に受け止め、この作品が生まれました。先日この(元)高校生にお会いする機会があり、その時の話など伺うことができました。この高校生のアイディア、行動力に感服するとともに、有川さんが本当に丁寧に受け止め、何度も児童養護施設を取材し、しっかり書き上げてくださったと伺いました。本当に素敵な作品だと思います。

児童養護施設のことを全く知らない人にこの本を読んでもらえたら、児童養護施設というところがどんなところか、そこで暮らしている子供たちがどんな子供たちかよく理解してもらえるのではないかと思います。また、児童養護施設の事を知っている人が読むと、色々なことを思い出すきっかけになるかと思います。是非、お読みください。